自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、よく知られまたよく使われることの多い、一連の症候群でした。しかし、過去に本邦でよく使われていた病名であったものの、精神科でも心療内科でも、現代では積極的に使用されない症状となってしまっています。
自律神経は、興奮的な作用と相反する抑制的な作用をもち、相互に作用しあう関係をもっていますが、そのお互いのバランスの崩れから生じるものとされています。
自律神経失調症の原因
想定される原因としては、生活のリズムの乱れ、ストレス過剰、ストレスを受けやすい体質や性格、環境の大きな変化、女性におけるホルモン環境の変化などがあげられます。
自律神経は全身の器管を常にコントロールしているため、そのバランスのくずれが全身に与える影響が多く、多様な症状が出るとされています。身体的な症状を自覚するために、最初から精神科や診療内科を受診することはまれであり、身体科にて異常がないからという理由で紹介されることがほとんどです。
慢性的な疲労やだるさ、めまい、動悸などの多様な身体的症状が目立つ一方で、心療内科などで慎重に問診をすると、イライラや、不安感、落込み、焦燥感、意欲減退など、精神的な症状を認めることも多いです。
症状としては訴えの特徴が重視されており、確定診断にあたって、自律神経機能検査の結果は基本的に求められていません。
現代では、医学および医療の現場で積極的に使用する病名または診断名なのかどうかという意見も、身体科のみならず、精神科および心療内科からも上がっています。